費用と負担

外国人社員の家賃負担|特定技能・技能実習の上限と会社費用

外国人社員の社宅費用を整理する企業担当者向け。特定技能1号・技能実習の家賃上限の考え方、借上げと自社所有の違い、保証料・初期費用・退去費用、育成就労の施行前情報を確認し、会社の住居予算表へ整理します。

対象:育成就労(運用開始前の準備情報)/技能実習・特定技能

最初に整理すること

家賃の本人負担は、全国共通の月額だけで決めるものではありません。特定技能1号・技能実習では、会社が借りた住居か自社所有かによって算定根拠が異なります。会社が支払った費用を全額そのまま転嫁せず、対象制度・費目・入居人数を確認し、本人への負担案と企業予算を分けて記録します。

1. 発生する費用を時期ごとに並べる

物件の見積を受け取ったら、初期、毎月、更新、退去の時期に分けて費用を一覧にします。家賃・共益費だけでなく、保証、保険、家具・家電、通信やライフラインの手配に関する費用も確認します。

見積に含まれない項目や、金額がまだ決まっていない項目は、空欄で済ませず未確認と記録します。退去時など将来発生する費用は、金額を推測せず条件と確認先を残します。

下表は見積を転記するための整理例です。実際に発生する項目だけを使い、金額が未定のものは、確認先と回答予定日を残します。

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会社の住居支出を時期ごとに分ける例
時期費目の例見積・契約書で記録すること主な確認先
入居前・契約時契約時の費用、初回の保証・保険、家具・家電、生活設備の手配費目別の金額/支払期日/見積に含まれる範囲不動産会社・保証会社・購入先
毎月家賃・共益費、光熱費、通信費、継続する利用料請求単位/支払者/支払日/変動する費目貸主・管理会社・契約先
更新時契約更新、保証・保険更新に関する費用更新時期/費用の有無/金額の決め方貸主・管理会社・保証会社・保険の窓口
退去時解約・退去時の精算、片付け・引越し等の費用解約連絡の期限/精算条件/見積が必要な項目貸主・管理会社・手配先
  • 一度だけの費用と継続する費用を分ける
  • 未確認の費目には担当と確認期限を付ける

参考:国土交通省|民間賃貸住宅

2. 企業予算と本人への負担案を分ける

企業の資金計画では、誰がいつ支払うかを整理します。その表とは別に、本人に負担を求める案がある項目と金額を並べ、何に対する費用なのかが分かるようにします。

企業が先に支払うことと、最終的に誰が負担することは分けて考えます。立替えや精算を予定する場合も、支払時期、精算方法、本人への説明内容を整理してから確認へ進みましょう。

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会社の支出記録と本人への負担案で分ける項目
記録残す項目次の作業
会社からの支出予定費目/金額/支払先/支払者/支払日予算と見積の差を確認する
本人に負担を求める案対象費目/案の金額/算定の根拠/未確認の点対象制度の資料と労務担当等へ照合する
本人への説明記録確認後の金額/説明日/使用言語/質問/回答説明内容と残る対応を本人と共有する
  • 金額が決まっていない費目に、確認先と回答予定日を記入する
  • 本人負担の確認が終わっていない項目を、請求・給与控除へ進めない

3. 負担案を対象制度の資料で確認する

家賃の上限を確認するときは、まず本人が直接契約するのか、会社等が借り上げて提供するのか、自社所有の住居なのかを分けます。ここでは特定技能1号と技能実習の住居提供に関する運用要領を整理します。育成就労は施行前の準備情報として別に扱います。

家賃という名称でも、保証料、備品、光熱費などが混在していれば内訳に分けます。会社が立て替える金額、制度上の費用の扱い、本人に説明する負担額を同じ欄で処理しないようにしましょう。

  • 確認に使った制度・資料・確認日を残す

参考:出入国在留管理庁|1号特定技能外国人支援に関する運用要領(別冊)第3章・住居と生活契約の支援(14〜17ページ)外国人技能実習機構|技能実習制度運用要領 第4章(2026年4月1日改正版)外国人技能実習機構|育成就労制度運用要領 第4章(2026年8月5日改正版)

4. 特定技能1号の家賃負担と上限を契約別に確認する

特定技能1号だから家賃や敷金をすべて会社が負担する、という整理にはなりません。本人が賃借人となる場合と、所属機関等が住居を提供して費用を徴収する場合で扱いが異なります。後者では、社宅等の貸与によって経済的利益を得てはいけません。

本人契約の敷金・礼金等は、所属機関に負担を求めるものではありません。会社が任意で全額を負担したり、合意して一部を負担したりすることは可能です。一方、家賃債務保証業者を利用する場合の保証料は所属機関等が負担します。家賃と一緒に本人へまとめて請求しないよう、見積の段階で分けておきます。

家具・家電や保険料等を定期的に徴収する場合も、本人に利益が帰属するか、内容を十分理解しているか、実費の範囲で耐用年数・人数等から合理的に算出した額か、合意があるかを確認します。会社の保険料や設備購入額を、根拠なく全額上乗せする扱いではありません。

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所属機関等が提供する住居で本人から費用を徴収する場合
住居の形居住費の算定根拠そのまま加算しない費用
借上物件管理費・共益費を含む借上費用を、入居する特定技能外国人の人数で割った額以内敷金・礼金・保証金・仲介手数料・更新手数料・途中解約金等は、この算定の借上費用に含めない
自己所有物件建設・改築等の費用、耐用年数、入居人数等を踏まえた合理的な額土地購入代・土地造成費用等は算定の建設・改築費用に含めない

参考:出入国在留管理庁|1号特定技能外国人支援に関する運用要領(別冊)第3章・住居と生活契約の支援(14〜17ページ)

5. 技能実習生の家賃上限と会社負担を整理する

技能実習生の居住費は、一律に「月○万円まで」と定める方式ではなく、借上物件・自己所有物件ごとの根拠で確認します。本人が提供される住居等の内容を十分理解し、実習実施者と合意していることに加え、実費に相当するなど適正な額であることが必要です。合意書があればどの金額でもよい、という扱いではありません。

借上物件では、管理費・共益費を含む借上費用を入居する技能実習生の人数で割った額以内とします。敷金・礼金・保証金・仲介手数料等は、この算定の借上費用に含めません。自己所有物件では、土地関係費用を除く建設・改築費、耐用年数、入居人数等から合理的な額を算出します。

役員・専従者・同居の親族の所有物件など、貸主が監理団体や実習実施者と実質的に同一視できる場合は、借上げの形でも自己所有物件とみなされます。契約書の賃料だけで計算を終えず、所有者と会社の関係も確認してください。

水道・光熱費は、実際の費用を同居者全員の人数で割った額以内です。実習実施者やその家族が同居する場合、その人数も含めます。会社の支出見込額と本人負担の算定資料を分け、請求書・契約書・入居人数の根拠を残しましょう。

  • 費目と算定根拠を雇用契約書・雇用条件書(参考様式第1-14号)、報酬・宿泊施設・徴収費用についての説明書(参考様式第1-16号)と照合する
  • 高額な居住費には追加の根拠説明を求められることがあるため、実費相当性を確認できる資料をそろえる
  • 入居者の増減や光熱費の値上がりで負担を変える際は、根拠を再確認し、事前説明と理解の確認を行う

参考:外国人技能実習機構|技能実習制度運用要領 第4章(2026年4月1日改正版)・112〜114ページ

6. 育成就労の居住費は新制度の費目で準備する

以下は2027年4月1日の運用開始に向けた準備情報です。2026年8月5日改正版では、本人が提供内容を理解し合意することと、実費相当など適正な額であることを前提に、居住費の扱いが示されています。技能実習の費用表をそのまま転用しないようにします。

借上物件の算定では、定期的に発生する借上費用に管理費・共益費と借上物件の損害保険・火災保険を含め、敷金・礼金・保証金・仲介手数料・賃貸契約の更新料・保証委託料等は含めません。その費用を入居する育成就労外国人の人数で割った額以内とします。

自己所有物件では、土地関係費用を除く建設・改築費や耐用年数・入居人数に加え、築年数・面積が類似する賃貸物件の相場等も考慮します。貸主と監理支援機関・実施者を実質的に同一視できる物件は、借上げでも自己所有物件とみなす取扱いです。

水道・光熱費は同居者全員で実費を割った額以内とし、本人から負担額の相談があった場合は請求書等を示して説明します。値上がり等で負担額を変更する場合には、事前に説明して理解を得る必要があります。技能実習の該当箇所とは説明の記載も異なるため、対象制度の版を確認してください。

参考:外国人技能実習機構|育成就労制度運用要領 第4章(2026年8月5日改正版)・4-97〜4-98ページ

7. 本人が理解できる形で費用を説明する

確認できた内容をもとに、本人が負担する項目、金額、支払先、支払時期を説明します。金額だけを示すのではなく、提供される住居や設備、サービスとの関係も伝えます。

説明には本人が理解できる言葉を使い、質問を受け付けます。説明資料、説明日、使用した言語、確認した事項を記録し、本人と共有します。合意等の必要な手続きは、対象制度に沿って確認してください。

8. 更新・退去費用と負担変更の確認を決める

入居人数の変更、契約更新、料金改定、退去など、費用を見直す場面を想定します。変更を把握する担当と本人へ説明する担当を決め、前の金額をそのまま使い続けないようにします。

契約書、見積、費用の整理表、説明記録を同じ案件として追える場所に保存します。未確定の退去費用や精算条件は、貸主・管理会社と確認してから本人へ説明しましょう。

技能実習生の退去費用について、機構の注意喚起では、将来負担する可能性がある内容と金額の目安を入居前に説明し、合意を得ておくことが望ましいとしています。退去時には、契約内容、入居時の状態、請求明細を照合し、費用の妥当性について相談があれば確認します。監理団体が確保した住居で実費相当額を超えて徴収する場合には、法に抵触する可能性があるとの注意も示されています。

参考:外国人技能実習機構|宿泊施設を退去する際に発生する費用の負担について(注意喚起)

出典・確認先

作業表は実務上の整理例です。制度固有の住居条件や本人の費用負担は、各制度の公式資料・適用時期と担当窓口で確認してください。資料ごとの確認日は以下に記載しています。

  1. 外国人技能実習機構|技能実習制度運用要領

    2026年9月12日確認。技能実習生の宿泊施設、徴収費用、定期的に負担する費用の確認先。

  2. 出入国在留管理庁|特定技能運用要領

    2026年9月12日確認。特定技能1号の支援内容と住居確保に関する確認先。

  3. 外国人技能実習機構|関係法令・育成就労運用要領等

    2026年9月12日確認。育成就労の住居・費用について施行前に確認する公式資料。

  4. 出入国在留管理庁|育成就労制度Q&A

    2026年9月12日確認。運用開始時期と技能実習の経過措置の確認先。

  5. 国土交通省|民間賃貸住宅

    2026年9月12日確認。入居・更新時の費用、解約条件、原状回復の確認に関する案内。

  6. 出入国在留管理庁|1号特定技能外国人支援に関する運用要領(別冊)第3章・住居と生活契約の支援(14〜17ページ)

    2026年9月13日確認。別冊は2025年4月1日版、16〜17ページ。契約別の負担、保証料、居住費・備品等の算定条件を照合。

  7. 外国人技能実習機構|技能実習制度運用要領 第4章(2026年4月1日改正版)

    2026年9月13日確認。2026年4月1日改正版、112〜114ページ。居住費と水道・光熱費、関係者所有物件、説明書を照合。

  8. 外国人技能実習機構|育成就労制度運用要領 第4章(2026年8月5日改正版)

    2026年9月13日確認。2026年8月5日改正版、4-97〜4-98ページ。施行前の居住費準備として費目と変更時の説明を照合。

  9. 外国人技能実習機構|宿泊施設を退去する際に発生する費用の負担について(注意喚起)

    2026年9月13日確認。2023年3月22日付の公式注意喚起。入居前の説明、実費相当額を超える徴収等の注意を参照。

情報の確認・訂正に関する編集方針

実務資料

会社の支出を、表にまとめる。

初期費用と月額費用を分けて入力できるExcelです。

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